BAD BRAIN

自作の音楽とかを出すブログ

自作小説「無名の城」

無名について

誰にも存在を認知されていない悲しみの状態、それが無名…そんな考え方はナンセンス。無名という肩書きはもっと素晴らしいです。結論から言うと、存在が知られていないことは幸福な事だと思います。

 

なぜそんなひねくれた変な結論にたどり着いたのか。多分なんとなく分かる人も居ますよね。そういう時代だ。

 

制約が皆無なのは一番のメリットです。

 

簡単に言えば、やらなければいけない事が無いということです。それは自分の好きなことを好きなように出来る、つまり周りの人の目を気にせずに生きられるという…素晴らしい毎日を謳歌することが可能。

有名な方は僕らが思う以上に多忙なもんです、自らを追い込み続けて破綻する人も少なくないと思います。そしてよく聞くのがこのセリフ、「昔は良かった」。このセリフは外からも内からも飛んできて、本人ですら吐き出してしまうこともある言葉。なぜこんな事を口にするの?そりゃ無名だったからです。

 

僕の想いを伝えるため、小説を書いたので読んでください。

ー無名の城ー

ある日無名くんは公園の砂場に砂の城を建てた。

誰に見てもらうわけでも無かったが、彼は出来上がった砂の城を見て満足していた。無名くんは砂の城を翌日また作ることを決めた。

翌日になり公園の砂場に向かうと、昨日作った砂の城を見つめる少女が居た。

無名くんは「君、これがそんなに珍しいかい?」と尋ねた。すると少女は「こんなに綺麗なものは見たことがないわ。」と言った。

「今から砂の城を作るつもりなの?私もそばで見ていていい?」と少女は尋ねた。無名くんは「僕は構わないよ。」と返し、昨日作った城の隣にもう一つの城を建て始めた。

 

そして数時間後…2つ目の砂の城が完成した。無名くんが満足していると、少女は「とても素晴らしいわ。」と呟いた。無名くんはその言葉を期待していたわけでは無かったが、なんとなく嬉しくなって「ありがとう。」と少女に伝えた。

「えへへ。また作る時は私も誘ってね。」と言い残し、少女は公園を去った。無名くんは少女の言葉もあって、『明日また彼女を誘おう』と決めた。

 

 

 

翌日、無名くんが少女と共に公園に行くと、今度は数人の大人たちが2つの砂の城を眺めていた。

無名くんは『あの人たちも僕のお城に興味があるのかな』とぼんやり考えながらも、特に気にすることもなく数時間後には3つ目の城を作り終え、明日も作ることを少女に伝えてから家に帰った。

翌日、少女と共に公園に行くと砂場には人だかりがあった。無名くんは少し驚いたが、とにかく砂の城を作ることに専念した。数時間後に城を完成させ、明日も作りにくると少女にのみ伝え家へ帰った。

そんな風に日を送る毎に、公園で待機している人の数はどんどん増えていき、いつしか無名くんはたくさんの人間の中心に居た。

無名くんには誇らしいという気持ちが確かにあった。それは少女に「素晴らしいわ」と言われた時の感情と同じものだ。

 

…だが、それ以上に煩わしいと感じていた。

 

なぜなら、見物人の中には自分のやることに口出しするものが居た。

自分を異常に持ち上げたり、執拗に貶したりする者も居た。

自分に訳の分からない相談してくる者も居たし、かと思えば意味不明な提案をして自分のやり方を変えさせようとする者も居た。

手をすり合わせながらすり寄ってくる者、ナイフを持って自分を刺し殺しに来るもの、自分の後ろで狂ったように妄言を放つ者、秩序を乱して自分の邪魔をする者…

 

無名くんはうんざりしていた。自らが中心に居るように見えるこの場所には、自分の居場所などありはしないと感じていた。

ここに存在する全ての人間はあらゆる方法をもって自分をここから追い出そうとしている。その自覚があるかないかなど、無名くんには関係なく…ただ邪魔だった。

無名くんはいつしか周りの人間達を恨むようになった。

 

 

 

そんなある日のこと、無名くんは少女を誘うのをやめることにした。

 

特に深い理由はなく、思いつきで実行したことだった。

少女が居なくても砂の城を無駄に誉める人間は腐るほどいるし、的外れな批判を偉そうに語る連中も居る。

 

無名くんに少女を誘う理由は無かった。誘うのをやめたこの日から、無名くんは少女のことを忘れていった。

 

 

 

しかし…少女を誘わなくなってから数日経ったある日。

いつものように公園に向かおうとした無名くんは、道中で誰かに話しかけた。

しかし話しかけた方には誰も居ない。無名くん自身も無意識の行動であり、無名くんは首を傾げた。

 

無名くんは考え込んだ。さっきの行動はなぜしてしまった?

 

 

 

寂しい?

 

 

 

 

虚しい?

 

 

 

そして、思い出した。

 

少女に初めて会った日を。

自分の城を初めて素晴らしいと言ってもらった日を。

少女と笑いあった日を。

 

 

ーーー彼は 少女の 家に 走ったーーー

 

 

二人で一緒に砂の城を作ったこともあった。

 

雨の日は彼女の指してくれる傘の下で、泥の城を作った。

 

誰かが自分を色眼鏡で見ようとも、彼女だけはありのままの自分を見て、微笑んでくれた。

 

 

ーーーーだが 少女は 病気で 亡くなっていたーーー

 

 

 

 

 

 

無名くんは公園に行かなくなった。

何人かの人間が家に訪ねてきたが、全て無視して家に籠もった。

 

頻繁に少女の夢を見てはうなされ、少女が幻のように消えかかると汗まみれで起き上がった。

無名くんは今の自分の状況や感情が上手く理解できなかった。それでも繰り返し呟く。

 

「昔に戻りたいよ。」

 

おしまい

いきなり書き始めちゃったので稚拙です、すいません。

小説書くのは苦手です。まぁ予防線ですけど。ありがとうございました。

無名のが良いんだよ

なんのために有名になる必要があるんですか?